技人国ビザの基準が変わった!令和8年改正の明確化ポイントを徹底解説【第2弾】
2026/05/20
前回の記事では、技術・人文知識・国際業務(就労ビザ)の在留資格取消リスクと企業への罰則強化をお伝えしました。
今回はその続編として、令和8年4月に最終改定された出入国在留管理庁の文書「令和8年技術・人文知識・国際業務の在留資格の明確化等について」(以下「本明確化文書」)をもとに、「何がOKで何がNGか」の判断基準を、公式の許可・不許可事例を交えながら申請取次行政書士の実務視点で解説します。
採用前・採用後の業務管理に、ぜひお役立てください。
令和8年4月改定で何が変わったのか 出入国在留管理庁は令和8年4月、「令和8年技術・人文知識・国際業務の在留資格の明確化等について」(本明確化文書)を最終改定しました。
平成20年(2008年)に策定されたこの文書には、今回の改定でホテル・旅館業向けの指針や「クールジャパン」分野(アニメ・ファッション・美容・食)向けの指針も一本化され、企業が参照すべき基準が体系的にまとまりました。
改定の目的は「申請者の予見可能性を高め、在留資格の決定に係る運用の明確化及び透明性の向上を図ること」と明記されています。これにより、これまで審査官によって判断にばらつきが生じていた部分に、より明確な基準が示されました。
■ 前回改定(令和6年12月版)からの主な変更点 令和8年4月版では、前回の令和6年12月版と比較して以下の変更がありました。
① 認定専修学校の対象範囲が拡大 令和6年12月版では「専修学校の専門課程の学科を修了した者」が対象でしたが、令和8年4月版では「専修学校の専門課程や専攻科の学科を修了した者」に拡大されました。認定を受けた専修学校の専攻科修了者についても、大学卒業者に準じた柔軟な関連性の判断が適用されます。
② 専修学校修了者の要件に「専攻科修了ルート」が新設 これまでは「専門士」または「高度専門士」の称号取得が要件でしたが、令和8年4月版では「専修学校の特定専門課程を修了した者と同等以上の学力があると認められた者として専修学校の専攻科に入学し、当該専攻科を修了していること」という第3の要件が追加されました。
③ ファッションデザイン系教育機関リストの更新(別紙2) エスモード・ジャポン東京校が「エスモード・東京校」へ名称変更(令和6年4月以降の卒業生からはファッションクリエイティブ学部が対象)し、バンタンデザイン研究所(ファッション学部ファッションディレクター学科、令和4年3月卒業生から)が新たに対象校として追加されました。
■ 明確化と審査官の裁量について 今回の明確化により審査の基準はより具体的になりましたが、審査官が個々の申請を事案ごとに総合的に判断するという仕組みは変わりません。「基準の明確化=審査官の裁量が狭まった」ではなく、「申請者・採用企業の予見可能性が高まり、準備をしやすくなった」と理解するのが正確です。個別の事情によって結果が左右されることは今後も変わらないため、専門家への相談が引き続き重要です。
本明確化文書に書いてある「NG業務」の定義 多くの企業が見落としがちなポイントが、本明確化文書に明記されています。 「学術上の素養を背景とする一定水準以上の専門的能力を必要とする活動でなければならない」 具体的には、以下の業務は認められないと明示されています。
・求人に「未経験可、すぐに慣れます」と記載があるような業務
・学歴
・実務経験要件を満たしていない日本人従業員が一般的に従事している業務
・反復訓練によって従事可能な業務 つまり、たとえ大学を卒業した外国人であっても、単純な事務作業
・工場のライン業務
・接客販売だけでは「技術・人文知識・国際業務」には該当しません。
大学卒・専修学校卒・認定専修学校で異なる「関連性」の基準 本明確化文書では、学歴と職務の「関連性」の判断基準が学校の種類によって明確に異なります。
■ 大学卒業者(国内外を問わず)・高等専門学校卒業者 大学は「広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究する機関」であることから、専攻科目と職務の関連性は「比較的柔軟に判断」します。例:経済学部卒業者がシステムエンジニアとして就労→認められる場合があります。
■ 専修学校卒業者(専門士・高度専門士) 専修学校は「職業若しくは実際生活に必要な能力を育成する機関」であるため、専攻科目と職務の間に「相当程度の関連性」が必要です。例:声優学科卒業者がホテルの翻訳・通訳業務に従事→関連性なしとして不許可。
■ 認定専修学校専門課程修了者(令和5年文部科学省告示第53号) 企業等と連携した実習等の授業を行っていること・日本社会への理解促進の環境が整備されていることを認定要件とする専門課程の修了者については、大学卒業者に準じて関連性を柔軟に判断します。令和8年4月版の改定により、この柔軟判断の対象は「専攻科」修了者にも拡大されました。
採用当初の「実務研修」はどこまで認められるか 採用直後の現場研修についても、本明確化文書で詳細に整理されました。
認められる研修の3つの条件
①日本人の大卒社員等にも同様に実施される研修であること
②在留期間中の活動全体として見て大半を占めないこと
③外国人だけに設定された研修(合理的な理由がない)ではないこと
✅ 許可事例(本明確化文書別紙3より) 文学部卒業の外国人が総合食料品店の総合職として期間の定めなく採用され、日本人大卒者と同様に採用当初2年間スーパーマーケット店舗での実務研修(商品の陳列・レジ打ち・接客・現場での顧客ニーズ修得)を経て、本社の営業部門や管理部門、グループ内の貿易会社等において幹部候補者として営業や海外業務に従事する予定のもの。→許可
❌ 不許可事例(本明確化文書別紙3より) 経営学部卒業の外国人が飲食チェーン本社の管理者候補として申請したが、「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務に従事することがあらかじめ確約されておらず、数年間・期間未確定の飲食店店舗での接客や調理の実務経験を経て、選抜された者のみが最終的に技人国業務へ従事するキャリアプランだったとして不許可。
→不許可 ポイント:「全員が等しく歩む研修」かつ「研修後に必ず技人国業務に就くことが確約されている」ことが重要です。
別紙3の公式事例から学ぶ|業務内容・報酬の注意点 本明確化文書の別紙3には、具体的な許可・不許可事例が多数収載されています。実務上特に参考になる事例をご紹介します。
■ 業務内容に関する不許可事例
❌ 弁当工場の箱詰め作業(教育学部卒) 弁当の製造・販売を行う企業の現場作業員として採用され、弁当加工工場において弁当の箱詰め作業に従事するとして申請があったが、「人文科学の分野に属する知識を必要とするものとは認められない」として不許可。大卒の学歴があっても、業務が単純作業であれば認められません。
❌ 菓子工場での洋菓子製造(栄養専門学校卒) 栄養専門学校で食品化学・衛生教育・臨床栄養学・調理実習などを履修した外国人が、菓子工場において当該知識を活用して洋菓子の製造を行うとして申請があったが、「反復訓練によって従事可能な業務」として不許可。学んだ知識があっても、実際の業務内容が問われます。
■ 報酬に関する不許可事例
❌ 日本人新卒18万円・外国人13.5万円(工学部卒のエンジニア) コンピューター関連サービスの企業との契約に基づき月額13.5万円でエンジニア業務に従事するとして申請があったが、同時に採用された日本人新卒の報酬が月額18万円であることが判明し、「報酬について日本人と同等額以上であると認められず」として不許可。
なお、通勤手当・扶養手当・住宅手当などは「実費弁償の性格を有するもの」として報酬に含まれない点も要注意です。
■ 許可された「実務研修あり」の事例(ホテル業)
✅ 経営学部卒業者のホテル総合職(研修期間6か月) 経営学を専攻して大学を卒業した外国人が、外国人観光客が多く利用するホテルに総合職(幹部候補生)として採用された後、2か月間の座学研修および4か月間のフロント・レストランでの接客研修を経て、外国語を用いたフロント業務・外国人観光客からの要望対応・宿泊プランの企画立案業務に従事。→許可 研修期間が在留期間の大半を占めず、その後に技人国業務が確実に予定されていることがポイントです。
企業がいま確認すべきチェックリスト
・外国人社員の業務内容が「学術上の素養を要するもの」に該当しているか
・配置転換後に在留資格と業務内容の整合性を確認しているか
・採用時の実務研修が「日本人と同様の内容・期間」になっているか
・研修後に必ず技人国業務に就くことが全員に対し確約されているか
・報酬が日本人同等以上か(各種手当の扱いに注意)
・在留カードの有効期限
・記載事項の届出義務を履行しているか 「うちは問題ないはず」という思い込みが最も危険です。実務では、採用後の業務変化によるリスクが圧倒的に多く見られます。
【まとめ】
令和8年4月改定の「令和8年技術・人文知識・国際業務の在留資格の明確化等について」により、「何が認められ、何がNGか」の基準はより具体的になりました。
本明確化文書の別紙3に収載されている許可・不許可事例は、判断に迷うときの参考として非常に有益です。
ただし、個別の事情によって判断が異なる部分も多く、実務では専門家によるチェックが欠かせません。
前回の記事(在留資格取消と企業責任)も合わせてご確認ください
採用前の適合性チェックから配置転換時のリスク確認、在留期間更新のサポートまで、
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