永住許可・取消しガイドライン案にパブリックコメント募集中
2026/08/06
出入国在留管理庁より、永住許可基準の改定案および新設される
「永住者の在留資格の取消しに関するガイドライン」案が公表されました。
本件は、永住者の在留管理を適正化し、秩序ある共生社会の実現を目的とする重要な見直しです。
詳細の確認および意見提出(パブリックコメント)は、以下のURLより可能です。
●永住許可に関するガイドライン改定案
: https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=315000140&Mode=0
●永住者の在留資格の取消しに関するガイドライン案
: https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=315000141&Mode=0
●【意見募集期間】 公示日:2026年8月4日 締切日:2026年9月4日 0時0分(9月3日24時00分)
【「永住許可に関するガイドライン」改定案の概要】
「永住者」は活動や在留期間に制限がない「最も安定した法的地位」です。
今回の改定案では、この地位の重要性を鑑み、審査を特に慎重に行う方針が明記されました。
これは、適切に在留している大多数の永住者に対する不当な偏見を防止し、国民の不安や不公平感を解消することで「秩序ある共生社会」を実現するという肯定的な背景に基づいています。
■独立生計要件の明確化と基準引き上げ
申請者には「現在及び将来において日本人と同等水準以上の経済条件」が求められ、原則として「同一生計世帯単位」で審査が行われます。年収基準は、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を継続的に上回ることが必要です。
扶養家族が5人以上の場合は、人数に応じた生活費等の増加分を加算して判定されます。
なお、就労資格(技術・人文知識・国際業務等)以外(「家族滞在」など)の家族による資格外活動収益は、世帯年収には合算されません。
新規の年金要件では、将来の受給見込額が、日本人世帯の平均収入水準で30年間厚生年金に加入した場合と同等であることが求められます。
不足する場合は「補填可能な金融資産」の保有が考慮されますが、この資産基準額は申請時の年齢に応じて設定され、若年層ほど長期の資産形成が可能であるとみなされ、基準額は低く設定されます。
■国益要件における新たな評価指標
永住が日本国に「積極的かつ具体的」に利益をもたらすものであるかを判断するため、日本語能力(CEFR=日本語教育参照枠でB1相当(自立した言語使用者)以上の能力)、制度・ルールの理解(「生活・就労ガイドブック」の内容を中心に、日本の社会ルールを適切に理解しているか)、
子の就学(学齢期の子を養育している場合、小学校・中学校への適正な就学)が重視されます。
■原則10年在留に関する特例の変更
実態に即した運用とするため、配偶者等の特例期間が伸長されます。婚姻期間は「3年以上」から「5年以上」へ、本邦在留期間は「1年以上」から「3年以上」へ、それぞれ変更されます。
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【「永住者の在留資格の取消しに関するガイドライン」案の概要】
令和6年の入管法改正に基づき、一部の悪質なケースに対処するための取消事由が新設されました。ただし、これらは個別の事情を厳正に判断し、慎重に運用されることが前提となっています。
■新設される3つの取消事由
・故意の公租公課不払い
:支払能力や意思があることを認識しながらあえて支払わない「悪質性」を基準とします。
申告義務があるにもかかわらず行わない「無申告」も対象となり得ます。病気、災害、失業、
事業不振、DV被害、ハラスメントによる離職など、本人に帰責性がない「やむを得ない事情」
がある場合は該当しません。
・入管法上の義務違反
:在留カードの有効期間更新申請や常時携帯・提示義務の不履行などが対象です。
更新の失念や不注意による不携帯など、一度の過失のみをもって直ちに取り消すことは想定され
ていません。
・特定の刑罰法令違反
:窃盗、詐欺、恐喝、殺人のほか、住居侵入、通貨偽造、文書偽造、危険運転致死傷などの
特定の罪で拘禁刑に処せられた場合が対象です。これには執行猶予が付いた場合も含まれます。
■職権による在留資格の変更(職権変更)
取消事由に該当した場合でも、日本への定着性や家族関係等を考慮し、法務大臣が職権で他の在留資格への変更を許可する制度です。実務上はほとんどの場合「定住者」への変更が想定されており、職権変更後に改めて要件を満たせば、再度永住許可を受けることも可能です。
【通報制度と適正な運用の確保】
行政機関による情報提供(通報)規定が整備されましたが、適正な運用のための歯止めが設けられています。通報は法律上の義務ではなく、職員の判断による「任意」のものです。通報のみで自動的に取り消されることはありません。入管庁による事実調査、本人への意見聴取(ヒアリング)等を経て、悪質性や定着性を総合的に勘案し、慎重に最終判断が下されます。
【結び】
本記事は、出入国在留管理庁が公示した各ガイドラインの「案」に基づき、実務的に重要なポイントを抽出したものです。
制度の全容や正確な適用条件については、必ず冒頭に提示したパブリックコメントページの各資料(改正案、改正案概要PDF)をご確認ください。
意見募集期間は2026年8月4日から9月4日0時0分(9月3日24時00分)までです。
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