豊川市の不法就労事件から学ぶ 入管法の罰則と2027年の厳罰化
2026/06/17
2026年6月、愛知県豊川市で外国人労働者に在留資格にない仕事をさせたとして、農園の経営者ら4人が逮捕されたという報道がありました。
このような不法就労の摘発は全国で報告されており、外国人本人だけでなく雇用した事業者にも厳しい罰則が
科されます。
今回は事件の概要を踏まえながら、入管法(出入国管理及び難民認定法)に定められた現行の罰則と、2027年4月から強化される予定の内容、企業が取るべき対策をわかりやすく解説します。
愛知県豊川市の不法就労事件、何が問題だったのか
2026年6月、愛知県豊川市の農園「白井菜園」の代表者ら男女4人が、ベトナム国籍の男女3人に「本来禁止されている副業」をさせた疑いで逮捕されました。
3人はSNSを通じて募集され、大葉の梱包作業に従事していたとされています。
雇用主側は容疑を否認していますが、ベトナム人労働者3人は容疑を認めているとのことです。
同様の事例は他の地域でも報告されています。
たとえば2026年1月には、兵庫県で在留期間が過ぎたベトナム人5人を解体現場で働かせたとして、解体業の男性が逮捕されました。
この男性は「在留資格があると思った」と話していますが、入管法では雇用主が外国人の在留資格を確認する義務があり、「知らなかった」という言い分だけでは罪を免れることはできません(詳しくは後述します)。
そもそも「不法就労」とはどのようなケースを指すのか
不法就労とは、大きく次の3つのケースに分けられます。
在留資格(日本に住むための許可証)を持たずに日本に滞在し、働くケース
在留期間(日本にいられる期間)が過ぎた後も日本に残り、働き続けるケース
在留資格はあるものの、その資格で認められていない活動をするケース(資格外活動)
今回の事件のように、すでに在留資格を持つ方が、許可されていない「副業」をすることも資格外活動に該当します。資格外活動を行うには「資格外活動許可(決められた在留資格以外の活動を一定の範囲で認めてもらう許可)」を事前に取得する必要があり、これがないまま働くと不法就労となってしまいます。
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不法就労をした外国人本人に科される罰則
不法就労をした外国人本人にも、入管法によって罰則が定められています。
不法入国・不法残留(在留期間を過ぎて日本に残ること)
:3年以下の拘禁刑(刑務所に入る刑罰)もしくは300万円以下の罰金、またはその両方(入管法第70条)
資格外活動(許可された範囲を超えて働くこと)
:1年以下の拘禁刑もしくは200万円以下の罰金、またはその両方(入管法第73条)
これらの罰則を受けると、刑罰だけでなく、その後の在留資格の更新や変更にも大きな影響が出る
可能性が高いです。
不法就労させた事業者に科される罰則(不法就労助長罪)と2027年4月からの厳罰化
外国人を雇用する事業者にとって、特に注意が必要なのが「不法就労助長罪」(入管法第73条の2)です。
この罪は、次のいずれかに当てはまる場合に成立します。
事業活動として、外国人に不法就労活動をさせた場合
外国人に不法就労活動をさせるために、その人を自分の管理下に置いた場合
業務として、外国人に不法就労活動をさせる、またはそれをあっせんした場合
2026年6月現在の罰則は、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方とされています。
そして、技能実習制度に代わる新しい仕組みである「育成就労制度」が2027年4月から始まるのに合わせて、
不法就労助長罪の罰則もさらに強化される予定です。
改正後は上限が「5年以下の拘禁刑、500万円以下の罰金、またはその両方」に引き上げられるほか、事件が成立してから処罰できる期間(公訴時効)も延長され、会社(法人)に対する罰金(両罰規定)も強化される見込みです。育成就労制度では外国人労働者の「転籍(職場を変えること)」がしやすくなるため、それを悪用するブローカーなどへの対策として、罰則強化が行われるとされています。
特に重要なのは、現行・改正後にかかわらず、「外国人の活動が不法就労に当たることを知らなかった」というだけでは、責任を免れることができない点です。
過失(不注意)がなければ処罰されないとされていますが、採用時に在留カードの確認を行っていなかった場合などは、過失があったと判断される可能性が高くなります。
まとめ:採用時の確認が、企業と外国人本人を守る第一歩
今回ご紹介した事例のように、不法就労は「知らなかった」では済まされず、外国人本人・雇用主の双方に
重い罰則が科されます。
2027年4月の育成就労制度スタートに合わせて事業者側の罰則がさらに重くなる見込みであり、これまで以上に採用時の在留カード確認や就労資格の把握が重要になります。
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